スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上記事の更新がないブログに表示されます。
新しい記事を書くことで、こちらの広告の表示を消すことができます。  
Posted by ミリタリーブログ at

2018年12月26日

USAF PJについて

今回は執筆者を変え、私の心に響いた部隊であるPJの紹介をしたいと思います。




その前にざっくりと組織について説明を。

米軍の様々な特殊部隊を統合指揮するアメリカ特殊作戦群(U.S.SOCOM)があり、その一部を構成しているのが空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)です。
ちなみにU.S.SOCOMの隷下には統合特殊作戦コマンド (JSOC)というものもあり、そこにも後述するSTSの一部が属しているのですがややこしくなるのでここでは割愛します。

他にも陸軍、海軍、海兵隊などの様々な部隊で構成されていますが、こちらの紹介も割愛します。

さて、AFSOCの任務ですがこれは私たちがイメージする基本的な空軍のそれと変わりません。

輸送や偵察、航空機誘導等を始め、映画やゲームなどで見るようなガンシップや無人攻撃機等を使用した近接航空支援(CAS)が主となります。



しかし、空軍にあるのはそういった航空機をメインで運用する部隊だけではありません。

意外に思う方もいるかもしれませんが、米空軍にはSTS(Special Tactics Squadron:特殊戦術中隊)と呼ばれる地上戦闘員のみ(120~150名で構成、指揮官は少佐)で構成されている中隊が複数存在します。


その中でも戦闘捜索救難(CSAR)を担うのが、PJ(Pararescue Jumper)となります。

PJが登場した作品で有名なものは、ローン・サバイバーのタイトルで映画化されたレッド・ウィング作戦でしょうか。

マーカス・ラトレル氏の救出に来たのがRQSのPJ(943rd)です。

映画だとPJのヘルメットが時代的に合っていなかったり、SEALの拳銃がM9だったりしますがご愛敬。

閑話休題。

彼らは高度な訓練を受け、医療知識及び技術を叩き込まれます。PJのなかには医師免許を取得している隊員もいます。

静脈路確保を行っているPJ。右のPJは戦場で起こり得る気胸等の判断にも用いる聴診器を首にかけています。


スケッドストレッチャーに傷病者を載せて走るPJ。ちなみにこの2枚の画像はBEST PJを決めるための競技のようです。


参考までに、PJの訓練課程を。

ちなみにPAST(Physical Ability and Stamina Test)と呼ばれる試験を受け、上位の者しかPJの過程に進むことはできません。狭き門ですね…。

イントロダクションコース 9週…ランニングや筋力等、基本的なトレーニング。
陸軍空挺学校 3週…空挺降下に必要な技術の習得。
空軍コンバットダイバースクール 6週…水深130フィート(約40m)の訓練施設を使用し、潜水技術等の習得。
海軍水中脱出トレーニング 1日…水中に墜落した航空機からの脱出等を学ぶ。
空軍ベーシックサバイバルスクール 2.5週…様々な環境下で生存するための知識等を学ぶ。
陸軍フリーフォールパラシュートスクール 5週…パラシュートの操作等を学ぶ。
パラメディックコース 22週…現場での医療行為について学ぶ。課程が修了すると、救急救命士(※)の資格が与えられる。
パラレスキューリカバリースペシャリストコース 24週…総合的な内容。医療技術、登山や戦闘について学ぶ。

※日本における救急救命士とは、行える処置が全く違うので混同しないよう。


STSに所属するPJはSEALsなどの著名な特殊部隊に付随(アタッチ)し、作戦を遂行します。

当然アタッチ先の部隊にもメディックはいますが、PJはそのメディックにはできない医療技術を提供することが可能です。



STSではなくRQS(Rescue Squadron:救難中隊)に所属するPJもおり、RQSは独自で航空機運用を行うことが可能です。

STSの任務内容も相まってメディアに露出しているPJの大半はRQSですが、状況によってはRQSメンバーがSTSに合流することもあるようです。

日本国内にて発生した東日本大震災においても、沖縄の嘉手納基地に駐留している320thSTSを構成するメンバーに33rdRQS(三沢飛行場駐留)などが含まれていたり、過去に米軍で行われたいくつかの救出作戦でもそういったことがあるようです。

…頭がごちゃごちゃしてきますね、軍隊の編成は難しい!!!

ただし最近発表された情報によると、将来的にSTSとRQSの区別をなくすように改革していくとの内容がありました。

空軍にはPJの他にも多くの地上戦闘員がいるので、そちらも改革をしていくとのこと。


うーん、いきなり難しい内容になってしまいました…。

けれども心に響いた方の装備を真似するにあたって、その装備を使用するバックグラウンドにも目を向ける必要があると思います。

装備にはそれぞれ目的があります。それは制圧に使うものなのか、通信なのか、それとも医療品なのか。

具体的に言えば、今回ご紹介したPJは戦闘はもちろん医療に特化しているためIFAK(個人用救急医療装備)以外にも、大きな医療用バッグや担架などを装備していることがあります。

一口で特殊部隊と言っても、その任務や装備はそれぞれ違います。そういった点にも目を向けていただければ、より一層ときめきを感じられると思います。


先述した東日本大震災をはじめ、嘉手納基地に駐留する31rdRQSがタイのタムルアン洞窟で発生した遭難事故に出動していたり、PJは世界各地で様々な任務に携わっています。

PJのモットーは「他を生かすために(That Other's May Live)」

その崇高な目的のために日夜活動するPJ、憧れませんか?

ちょっとでもときめいたそこのあなた、是非一緒にPJ装備を始めませんか?


Author:MIZINKO


画像参考
https://www.specialwarfaretw.af.mil/About-Us/Pararescue/
(上で紹介したPJの訓練課程も原文で載っているので、英語が得意な方は是非!)
https://www.aetc.af.mil/News/Article/1642799/pj-rodeo-tests-for-the-best-pj/
https://www.aetc.af.mil/News/Photos/igphoto/2000996161/
画像の転載におきまして、問題ございましたらご連絡ください。  

Posted by 靴の裏のガム at 23:08Comments(0)PJ